優秀賞

ぼくは、くろねこ。

山口夏希Natsuki Yamaguchi

むかしむかし、くろねこは「幸せを呼ぶしるし」と言われたり、「不吉な存在」と思われたりしていました。いろいろな迷信とともに生きてきたけれど、くろねこの本当の姿は、なんとも魅力的でかわいらしいものです。
この絵本では、そんなくろねこたちと一緒に冒険します。「くろねこのさがしもの」はヨーロッパが舞台。少年とくろねこたちが家でドタバタ探し物をします。「くろねこのおいかけっこ」の舞台は日本の町。忍者になったくろねこが街中を駆け回ります。これらの2冊には小冊子がついていて、物語に登場したモチーフや迷信ができた理由について詳しく知ることができます。そして「くろねこのノワール」は仕掛け絵本。迷信にちなんだ衣装をくろねこに着せながら、魅力を自由に探求できる内容となっています。
ちょっと不思議で、かわいらしいくろねこたち。私はくろねこと一緒に暮らして、たくさんの幸せをもらっています。その愛おしさが、この絵本を作る原点です。この作品と出会った人が、新たな視点でくろねこを好きになっていただけたら嬉しいです。
Shindo Seminar
猫、大好き!その中でも「くろねこ」に、とっておきの愛を注ぐ山口さん。どんな授業でも実力を発揮してきた彼女が、集大成として選んだのはやっぱり「くろねこ」でした。調べていくうち日本に「黒猫は不吉」という迷信があるように、世界中に黒猫にちなんだ吉凶様々な迷信があるとわかり、それらをアイデアソースとした絵本を制作。日本版とヨーロッパ版どちらも、愛らしい「くろねこ」だけでなく、細やかな背景描写にも注目してください。貪欲に制作に取り組み、完成度を高めた作品群は圧巻です。春からは、誰もが知るキャラクター玩具メーカーでデザイナーとしてスタートを切ります。世界観を作り上げられる力は間違いなく強みになるでしょう。つぶらな瞳の黒猫の商品が店頭に並ぶのも、そう遠くないかもしれません。
進藤やす子 准教授 評