学科セレクト

Polyphony

福田 真子Mako Fukuda

音楽を通した人間の創造性やこれからの音楽の在り方をグラフィック媒体から探る。人間の創作物とAlの創作物が混同する今日、人間が創作ないし消費を含め、音楽を享受する意義をどのようにとらえていくべきか。この作品のタイトルでもある、「ポリフォニー」は音楽技法であり、複数のメロディやリズムが絡み合う体験を言う。たとえばジャズに代表される即興演奏では、意識と無意識、偶然と必然といった曖昧とも言える人間の感覚を、 単なる混沌ではなく、緻密な構造の一部として取り込んできた。各演奏者の独立した表現を保ちながら相互に影響し合い、 一体感を生み出す。 それは異なる文化や背景を持つ人々が共存し、対話を通じて新たな価値を生む社会のモデルとも捉えられる。 現代の表層的な消費を加速させるような記号化の飽和状態において、 新たな音楽的なポリフォニーの成立が、多様な声を調和させる仕組みを築くことが、 未来への鍵になるのではないかと考える。
Kondo Seminar