変身の代償
鈴木和史
古今東西、世界中で様々な変身ヒ ー ロ ー作品が作られてきましたが、それらにおいては度々、人ならざるものになってしまった苦悩や、周囲の期待に精神をすり減らしていく姿など、変身すること、力を手にする ことの代償が描かれてきました。そして、 これらは決してフィクションの中にしか存在しない概念ではありません。技術の進歩や多様性を認めようとする社会の風潮もあり、なりたい自分になることがより容易に、 よリ推奨される様になった現代に生きる我々だからこそ、今一度彼らが背負ってきた「変身することのリスク」を知る必要があると、私は考えています。そこで、架空のヒ ー ロ ーをデザインし、一見したかっこよさを表現したメインビジュアルと、裏に抱えた哀しみを表現したサプのイラストレ ーション作品をそれぞれ制作し、周囲からの印象と実情を表現した作品としました。我々の身の回りにいる、一見ヒ ー ロ ーのように強い人、 かっこいい人にも、人には明かせない悲しみがあるのかもしれません。そして、私たち自身もよりなりたい自分に変わろうとすれば、知りたくなかった事実と直面せざるを得ない状況になることもあるかもしれません。この作品を通して、少しでも多くの人にそのことを知っていただけると幸いです。
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