優秀賞
between A and B
野間愛加
現代ではインターネットの普及により、距離や時間を超えた繋がりが容易に実現しています。しかしその一方で、心が触れ合う感覚や生命の温もりといった、生の感触が失われつつあるのではないでしょうか。
私は「手」を、古代から創造や繋がりを象徴するものであり、それ自体が意思の表現でもあると捉え、物と物、人と人、物と人を結びつける役割を持つモチーフとしたイラストレ ーションによる作品を制作しました。この作品は人間の心情や生命活動に宿る「生っぽさ」をテーマに、AとBの間にある 「繋がりたい」という心情を表しています。
制作に際して、私はアルゼンチンのクエバ ・ デ ・ ラス・ マノスに注目しました。この最古の洞窟壁画に描かれた無数の手形からは、名も知らぬ人々の息吹が時空を超えて伝わります。壁画が奇跡的な環境で保存されていたからこそ、私たちはその息吹を感じられるのです。つまり、繋がりを築くためには、間に存在するもの一例えば物理的な形や感触ーが欠かせないのです。私は、A が見た物のコピーをBへ渡す(A とB がコピーで繋がる)のではなく、生の形跡の良さを伝えたいと思います。展示を通じて、生の感触や繋がりの価値を再認識していただければと思います。
私は「手」を、古代から創造や繋がりを象徴するものであり、それ自体が意思の表現でもあると捉え、物と物、人と人、物と人を結びつける役割を持つモチーフとしたイラストレ ーションによる作品を制作しました。この作品は人間の心情や生命活動に宿る「生っぽさ」をテーマに、AとBの間にある 「繋がりたい」という心情を表しています。
制作に際して、私はアルゼンチンのクエバ ・ デ ・ ラス・ マノスに注目しました。この最古の洞窟壁画に描かれた無数の手形からは、名も知らぬ人々の息吹が時空を超えて伝わります。壁画が奇跡的な環境で保存されていたからこそ、私たちはその息吹を感じられるのです。つまり、繋がりを築くためには、間に存在するもの一例えば物理的な形や感触ーが欠かせないのです。私は、A が見た物のコピーをBへ渡す(A とB がコピーで繋がる)のではなく、生の形跡の良さを伝えたいと思います。展示を通じて、生の感触や繋がりの価値を再認識していただければと思います。
Kondo Seminar
そのイメージが虚像なのか、それとも実態を伴うものなのか—。太古の昔から、人は手で触れることで確かめようとしてきた。「温もりをもった生(なま)な感触が、現在のネット中心の世界では失われつつあるのではないか」と野間さんは語る。彼女の描く絵の中では、手はさらに物に近づき、葉の一部になり、リボンになり、そしてねじとなる。では、現実世界における「虚」と「実」の境界はどこにあるのだろうか。考えてみれば、スマートフォンやタブレットのタッチパネルの登場により、イメージに手で触れることが日常の一部となっている。この光景を目にしたとき、古代壁画を描いた人々は一体どう感じるだろうか。手描きの風合いを残したタブローであることも相まって、本作はさまざまな問いを投げかけ、深く考えさせられる作品となっている。
近藤一弥 教授 評


