夜の向こうへ

山本凜Yamamoto Rin

夜はとても静かで、少しだけ心が沈みやすい時間です。
そんな夜に灯りをつけるという行為には、「この夜を超えていこう」という、小さくても確かな前向きさがあると感じています。
物語には、灯りからぼんっと現れる、灯りに生む猫・ボンが登場します。ボンは頑張る人のそばに寄り添い、そっと見守る存在です。
赤ちゃんのお世話で少し疲れてしまったお母さんは、赤ちゃんがようやく眠った後、ふと涙をこぼしてしまいます。その涙に触れた途端、ボンはお母さんの心の中へと入いきます。
心の奥には、今まで言葉にできなかった不安や戸惑いが、重たく澱まっていました。ボンは冷たくなりかけていた心のそばに寄り添い、ゆっくりと温めていきます。
不安で思い詰めてしまいそうになる夜でも、独りではありません。夜を超えて朝に向かう、その小さな歩みをそっと支える一冊でありますように。
Tanaka Seminar