ギフトコメント その3
June 08, 2009
たいへんおまたせしました。
ギフトコメント第三弾です。
今日は、田中先生と近藤先生のコメントをお届けします。
それではどうぞ!
05班 『ふっとほっと』
- 派手さはないけど、取り組みが真面目で好感が持てる。類似した商品がすでに市販されているので、アイディアの飛躍があると良かった。「ギフトはコミュニケーションだ」という発想はとても良い。(田中)
- お父さんへの思いやり付箋などは、ホロッときそうですが、問題は二回目以降 でしょう、ルーチン化してかえって逆効果になったりして。とはいえ冊子のイ ラストには安らぎを覚えました。(近藤)
07班 『もぐもくん』
- リサイクルは日頃から語られているテーマなので、もっと違う目線、価値観から発想する必要がある。スケールの大きさも欲しい。
「もぐもぐくん」が不気味だったのが残念。力の入れどころをちょっと間違っちゃったかな。(田中) - リサイクルは「未来へのGIFT」という展開になるのかと思ったら、「もぐもく ん」になっていました。これだと顔キャラが強烈すぎて、大切なシステムを反 射的に「好き、嫌い」の感情レベルの問題に押し下げてしまいますよ。(近藤)
- 現実的ではないアイディアだけど、やるならもっとシャレっ気を利かせた方が良かった。名刺よりもコミュニケーションツールとして、とらえた方が発想は広がったように思う。(田中)
- 個人的に甘いものは好きで、釣られる立場にあるので、かえって疑心暗鬼にか られそうです。お菓子がうれしいのは、やっぱり二度目からでしょう。名刺は 基本的には初対面のビジネスツールなので、そこに少なからず疑問を感じます。(近藤)
11班 『小さな幸せprj.』
- カードを置く場所をもっとこだわると、面白くなったかも知れない。ネット掲示板との違いをもっとはっきりと出せると良かった。(田中)
- 昔からラジオのパーソナリティーが読むのは、ハガキに書かれた「小さな幸 せ」的なお便りです。ハガキ大のカードに描かれたQRコードはそこからの発想 でしょうか。実際は大勢なのに、とても個人的な印象を受けるところは、 GIFTとして眼のつけどころですが、それがいたるところに置かれていると、お 仕着せがましくなりませんか。(近藤)
13班 『Outside gift』
- あまり実用性を持たせると、つまらなくなってしまう。「外側」と「内側(ギフト)」の関連性がおもしろさだと思うから、そこにもう少し工夫が欲しかった。キューブ型にする必要はないのでは。(田中)
- 内側が外側という発想は好きです。ただし、GIFTボックスのことを考えると、 本来は中に何が入っているか、ちょっとわからない期待と驚きがポイントでし ょう。これだと、外から見て内容がわかってしまう可能性が高いこと、よっぽ ど哲学的なものでない限り、中が空というのが許されないことが問題です。こ のハードルを越えることがむずかしかったようですね。レゴそのものだった り、中に亀がいたりして、破綻していました。(近藤)
18班 『白い風船』
- 「香り」に着目したことはおもしろい。が、そこから先の詰めが足りない。香りの入れ物が風船で良かったのか。風船である必要の説得力がもっと欲しい。(田中)
- GIFTの特徴として、想い出を贈るという側面があると思います。物で想い出を 定着させていくわけです。それを逆手にとって、記憶と直結する「香り」その ものをメインにしたまでは良かったのですが、風船割るのはちょっと刺激的すぎました。別の意味で、不快刺激もかなり記憶に残りやすいものなのです。(近藤)
23班 『トロイメライ』
- 贈る側が想いを継続していかなきゃだめという視点はとても良い。デザインがだめ。お年寄りに贈るからという既成概念を取り払って、もっとウイットに富んだデザインを考えて欲しい。(田中)
- 一般的に歳を重ね、高齢になるということは、几帳面というベクトルとは逆の ような気がします。この場合、スクラップブックはキチンとルールだてて整理 されていくことで価値が上がるのではなくて、ルーズに雑になりながら美しく なっていくような、そんな仕掛けを持っていれば、もっと良かったと思いま す。いずれにせよ、年配の方には素敵なGIFTになりますね。(近藤)
24班 『TAMAMORI』
- アイディアシートでは面白そうな期待があったけど、プレゼンではそれ以上の発展がなかった。入れ物という発想を一度壊して、違う目線で考えてみると、思わぬ発展がありそうな予感もあった。(田中)
- これが銀の盆にのっていたら「サロメ」の生首ですよ。説明を聞いていると、 細部は良くできているのですが、あまりに真面目に取り組みすぎてしまって、 何か見失っているようにように思います。殺意や差別を連想させる物は、もっ と注意深く扱ってください。もしくは最大限のユーモアを持って。(近藤)
26班 『Laughramer』
- 贈られた人のイマジネーションを広げるという発想は面白い。でも、プレゼンで発表したものは、逆に狭い世界で終わってしまっている。見方やその周りの状況で、どんどん見え方が変化していくものを考え付いたら、とても面白くなりそう。(田中)
- カードの真ん中に穴があけられ、「そこから空を見上げて下さい」というふう に書かれた有名な美術作品を思い出しました。この場合、GIFTのコンテンツは それを見る人の想像力の中に生じることになるのですが、「Laughramer」だ と、フレームと風景との関係が見たまますぎて、ちょっと簡単すぎる気がしま す。もう少し詩的な拡がりを持つようにしないと、すぐに飽きられてしまいま すよ。(近藤)
29班 『お! project』
- プレゼンも含めて作りが丁寧で良い。アイディアを魅力的に見せていた。リアリティを感じる。ただ、単なるおまけ的なスケールに終わってしまうと、つまらない。(田中)
- GIFTの喜びの中には、私だけの...、と思わせるごくパーソナルで密やかな喜び があります。「お! project」は「お!」というささやかな発見の部分の眼の つけどころは良いのですが、それを「project」として謳ってしまうところ に、少し矛盾を感じます。プレゼンはスケールを大きそうに見せた方が見栄え はしますが、この場合、実際はむしろそこを隠すような展開を工夫しなければ ...。(多田)
31班 『天下』
- アイディアそのものは特別秀でているわけではないけど、取り組み方の姿勢は真面目そのもの。プレゼン方法、サンプルの作りも秀逸。あの一見ばからしいアイディアで、チームをまとめあげ、プレゼンまでチームを引っ張れてこれたリーダーの力を評価したい。(田中)
- これって、明らかに殿様、暗殺してますよ。発想と造形にはインパクトありま すが、個人的には頭に刺さっているが穴あき包丁のところがちょっと気に入り ません。ここは日本刀の流れを汲む、焼きのはいった和包丁でなければ...。 『梅ぼしと日本刀』ではないけれど、そこに少し文化的な含みがないと、単な る自虐的な一発ギャグに終始してしまいます。それにしても、日本土産のくせ に、絶対に手荷物で飛行機乗れませんね。(近藤)
04班 『ぎ封筒』
- 言葉遊びで終わってしまっているところが残念。使い方にもっと工夫が欲しい。郵便番号の枠は不要。(田中)
- 考えてみれば祝電とか弔電とか、いまだにお世話になることがあります。「ぎ 封筒」を見ていると、むしろ実際に手にとって選べない場合のGIFTのありかた を考えさせられました。用途が比較的はっきりしていて急いでいる、それもネ ットなどで選んで贈る目録や商品券の場合、重要なのは記号的なやりとりをい かに無味乾燥なものにしないかです。そんなところに焦点を当て直せば、意外 と道は開けるかもしれません。(近藤)
16班 『シナプス』
- 「物」を表現したチームが多い中、ギフトという想いそのものをアニメーションで表現した「発想の柔軟さ」が良かった。コマ撮りという手作業とチームワークが結びついて、ほのぼのとした思いがうまく伝わってきた。(田中)
- このタイトルを聞いたとき、最初はヘッドギアとかカプセルとか、もう少しア ブナイ形で脳に直接贈る物かと勘違いしてしまいました。物を介さず、その情 報と感覚だけをダイレクトに交換する世界がいずれ訪れ、そこでデザイナーは ...、いけない妄想が現実を浮き彫りにする事もあります。発表内容は少し違い ましたが、いずれにせよ、GIFTを単なる物ではなく、概念として取り組もうと する姿には好感持てました。(近藤)
総評
このコンペの4年生〜1年生までの連帯を作ろうという、当初の目的は達成できたと思います。最終的に出来上がったものよりも、それが生まれてくる過程の中で得られたものを大事にして欲しいと思います。それとプレゼンテーションの技術次第で、自分たちのアイディアが魅力的に伝わったり、そうでなかったりと、実感できたのではないでしょうか。ともあれ、想像以上のチームワークの良さを見て、これからが期待できそうです。お疲れ様でした。(田中)